「催事の片づけがあるんです」と、営業の女の子が言った。
「マジで?大変じゃない?手伝うよ」
「いいんですか!?助かります!」
なんて頼りになるおねーさん、ってな感じだが、私の目的は別にある。
「あのさ、イベントの撤去に行くから、私抜けるね♪」
「そんな、満面の笑みで。。。あのヒゲのおにーさん?」
「すげー、なんでわかったの?」
「わかりやすすぎだって。○○も出してたんだね。イベント」
「そうなのー。多分、っていうか絶対、いると思うから行ってくるねー」
ヒゲのおにーさん見たさに、催事場まで走る私。
だが、しかし、催事場は広く、関係者やらなにやら、人が大勢いて、おにーさんを見つけることは出来なかった。
ちっ。しょーがねーな。
私は、真面目に肉体労働に励むことにした。
重いパッキンを台車に乗せて、エレベーターの方へ向かうと
同じく台車やラックを引く人達の列が出来ていた。
そして、その最後尾には、あのおにーさんが!!
私は急いで列に向かい、おにーさんの後ろに並んだ。
背が高いなあとか、髪が長いなあとか、天然パーマなのかパーマなのか観察していると
突然お兄さんは振り返り、私を一瞥して、携帯を取り出しながら歩き出しました。
そして、すれ違い様に、小さい声で「お疲れ様です」と言いました。
私は、咄嗟に、何と言ったのか、誰に言ったのか理解できず、何も言うことができませんでした。
やっと気づいて振り返ると、おにーさんは、携帯で話しながら、催事場の方へ歩いて行ってしまいました。
ねえ、私って、超バカじゃない?
「うん、すげーバカだな」
君が、生ビールのジョッキを置きながら言った。
「ひどい。そんなきっぱり」
「俺にそんな話するなんて、すげー無神経。ムカつく」
「ごめん。でも、好きな人ができたら言えって言ってたじゃない」
「はあ!?好きなの?そいつのこと」
君が本当に驚いたように、目を丸くして言ったので、私は思わず笑ってしまった。
「なに笑ってんだよ」
君が、おしぼりを投げつけて言った。
「いや、だって、本当にびっくりした、みたいに言うから」
笑い続ける私に、君はつられて笑いながら、もう一度、好きなの?と聞いた。
「気に入ってる」
「なんだそれ。答えになってない」
「だって、本当のことだもん。気に入ってるんだもん」
君は、はぁ、と溜息をついて
「まあ飲めよ。ワイン頼んでやる」と、言った。
「飲ませなくても、今日は泊まってあげるよ」
「なに言ってんの?泊めてやんねーよ、へーんだ」
「へーんだって、なにそれ?バカじゃないの?」
「バカはお前だろ。お疲れ様ですも言えなかったくせに。挨拶を無視されるって、印象最悪だな」
「うるさいな。いきなりのことでびっくりしただけだよ」
「なにびっくりしてんだか。中学生かよ」
「あんたって、ほんとムカつく。私は、好きな人には、超シャイな女だよ」
「知ってるよ。そこがいいんじゃん」
で?好きなの?
さて、どうでしょう?
話してみなければ、わからない。
でも、きっと、話してみても、好きだ。
前にもあった。この感じ。多分、間違いなく。そうだ。そうだった。
やばい。動き出したい気分になってる。
だけど、どうしようか?
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